9月1日は、防災の日です。

この時期になると、地震への備えを扱った記事をよく目にします。
家具を固定しましょう、水を備蓄しましょう、避難場所を確認しておきましょう。
どれも大切なことです。

ただ、家づくりを考えている方に、ひとつ提案があります。

地震のあと、家が無事だったとして。
その家で、暮らし続けられるでしょうか。

倒れないことと、住み続けられること。
この2つは、実は別の話です。

この記事では、これから家を建てる方に向けて、
「その後」の視点から住まいを考えましょう。

この記事を読んでわかること

  • 倒れないことと、住み続けられることは別の話
    建物が無事でも、暮らしが続けられなくなることがあります。
  • 電気が止まったとき、何が困るか
    太陽光発電でできること、蓄電池を加えると変わることを整理しました。
  • 水とトイレ。実は、こちらのほうが切実です
    飲み水よりも、排水のほうが在宅避難を左右します。
  • 夏と冬を、しのげるか
    断熱・気密は、冷暖房が使えないときにこそ差が出る性能です。
  • 設計の段階でしか決められないこと
    構造の強さ、非常用の配線、収納の造り方についてご紹介します。

倒れなかった家が、住めない家になることがあります

大きな地震のあと、
被害の小さかったご家庭が自宅にとどまって生活することを、
在宅避難と呼びます。

避難所に行かなくてよいのなら、それに越したことはありません。
住み慣れた場所で、家族だけで過ごせます。
プライバシーもあり、体調も崩しにくい。
小さなお子さんや、ご高齢の親御さんがいらっしゃるご家庭ならなおさらです。

ところが、実際にはこうなることがあります。

建物はどこも壊れていない。
ひび一つない。
それなのに、
電気が来ない。
水が出ない。
トイレが流せない。
夏の暑さも冬の寒さも、しのぐ手立てがない。

結局、家を出るしかなくなる。

構造の話と、暮らしの話は、別々に考える必要があるということです。

在宅避難を左右する箇所
在宅避難を左右する箇所

まず前提として、倒れないこと

もちろん、出発点は建物の強さです。
ここが崩れると、その先の話は成り立ちません。

住宅の地震に対する強さは、耐震等級という指標で表されます。
等級3が最も高い区分で、消防署や警察署など、災害の拠点となる建物に求められる水準です。

このあたりは、以前に書いた記事で詳しくご説明しています。

この記事では、そこから先に進みます。

電気が止まったとき、何が困るか

太陽光パネルを載せた住宅の屋根
太陽光パネルのある屋根

停電で最初に困るのは、明かりではありません。
情報です。

スマートフォンの充電が切れると、
ご家族のみなさまの安否、
給水車のお知らせ、
道路の状況など
必要な情報が取得できません。
ラジオが手元にあればいいのですが、
多くのご家庭では、いまや情報の入口はスマホです。

次に困るのが、
冷蔵庫です。
夏場であれば数時間で中身が危うくなります。

太陽光発電がある場合

太陽光発電を載せているお宅では、
停電時に自立運転へ切り替えることで、
専用のコンセントから電気を取り出せる機種が一般的です。

ただし、使えるのは日射のある時間帯に限られます。
夜は発電しません。
取り出せる電力にも上限があり、
すべての家電が普段どおりに動くとは限りません。

蓄電池を組み合わせる場合

昼につくった電気を蓄えておけば、夜も使えます。
冷蔵庫を止めずに済むかどうかは、ここで分かれます。

どの機器を非常時に動かしたいのか。
それによって必要な容量も、配線の考え方も変わります。
この配線は、あとから足すより、
新築のときに決めておくほうが手間も費用も抑えられます。

「非常時にどのコンセントを生かすか」は、
間取りの打ち合わせの中で決めることができます。
冷蔵庫のある場所、
ご家族が集まる場所、
寝室など、
優先順位はご家庭ごとにさまざまです。

水とトイレ。実は、こちらのほうが切実です

備蓄品

飲み水は備蓄でなんとかなります。
一般には3日分、
できれば1週間分と言われていて、
あらかじめ準備することができます。

問題は、排水のほうです。

断水すると、
トイレが流せません。
これは想像以上にこたえます。
1日に何度も必要で、
ご家族の人数だけ回数が増えるため大変です。
在宅避難をあきらめる理由として、
実際によく挙がるのがトイレだと言われています。

そして、水が出るようになっても、
すぐに流してはいけない場合があります。
地震で排水管が壊れていると、
汚水が室内や地中に漏れる恐れがあるためです。
まずは点検を、というのが基本です。

携帯トイレは、置き場所まで決めておく

備えとしては、
携帯トイレを用意しておくのがいちばん確実です。
便座にかぶせて使う袋状のもので、
何十回分かをまとめて保管しておけます。
これも、置き場所を最初から決めておけると安心です。
トイレのすぐ近くに、小さな収納をひとつ。
それだけで、いざというときに探し回らずに済みます。

エコキュートをお使いのお宅では、
貯湯タンクに残った水を非常用の生活用水として取り出せる場合があります。
取り出し方も、飲用の可否も機種によって異なりますので、
取扱説明書を一度ご確認ください。
一度やってみておくと、本当に必要なときに迷いません。

夏と冬を、しのげるか

三重の夏は、年々厳しくなっています。

エアコンが使えない状況で、
室温が下がらない家にとどまるのは、危険です。
冬も同じで、
暖房が止まったときに室温がどこまで落ちるかは、
家の断熱性能で大きく変わります。

断熱と気密は、
光熱費のための性能だと思われがちです。
実際その通りなのですが、
冷暖房が使えないときにこそ、いちばん差が出る性能でもあります。
外の暑さ寒さが入ってくるまでの時間を、どれだけ稼げるか。
その時間が、体力を守ります。

断熱・気密の考え方については、こちらでご説明しています。

家の中で、けがをしないために

在宅避難ができるかどうかは、
揺れている最中に家の中で何が起きたかにも左右されます。

背の高い家具が倒れれば、
その部屋は使えなくなります。
廊下をふさげば、
逃げ道もなくなる。
ガラスが割れて床に散れば、
靴を履くまで歩けません。

ここは、設計の段階で減らせる部分です。

造り付けの収納にすると、倒れる家具が減ります

収納を造り付けにしておけば、倒れる家具そのものが減ります。
寝室のクローゼットを壁面に組み込む、
キッチンの食器棚を作り付けにする。
それだけで、置き家具の数は目に見えて減ります。

寝ている場所の周りに、倒れてくるものを置かない。
これは間取りを決める段階の話です。
ベッドの頭の側に本棚を置かない配置にしておく、
というだけのことですが、
後から動かすのは意外と難しいものです。

食器棚に耐震ラッチを付けるかどうか、
ガラス扉にするかどうかも、
打ち合わせで決められます。

設計の段階でしか、決められないこと

テクノストラクチャーの梁
建設中のテクノストラクチャーの家

ここまで挙げてきたことの多くは、
家を建てたあとでもできます。
備蓄も、家具の固定は、
いつでも始められます。

一方で、建てるときにしか決められないこともあります。

構造の強さは、その筆頭です。
柱と梁をどう組み、
壁をどこに配置し、
その家が地震の力にどう耐えるのか。
完成してからでは、簡単には変えられません。

堀崎ホームでは、パナソニックのテクノストラクチャー工法を採用しています。
木の柱と鉄の梁を組み合わせた工法で、
1棟ごとに構造計算を行って、その家の強さを数値で確認してからつくります。
「この間取りなら、たぶん大丈夫」ではなく、
計算して確かめるという手順です。

広いリビングがほしい、
大きな窓がほしい。
そうしたご希望と、
地震に対する強さは、どうしても引っ張り合います。
そのバランスをどこで取るのかを、感覚ではなく計算で判断できる。
ここが、この工法をポイントです。

非常用のコンセントをどこに置くか、
携帯トイレをどこにしまうか、
寝室に何を置かないか。
こうした細かいことも、
間取りの打ち合わせの中で一緒に考えられます。

構造は、実物を見ていただくのがいちばんです

モデルハウスの寝室
テクノストラクチャーの梁が見れるモデルハウスの寝室(松阪ハウジングセンター)

実際の構造は、松阪ハウジングセンターのモデルハウスでご覧いただけます。
モデルハウスの寝室では、テクノストラクチャーの特徴の1つ「テクノビーム」の実物もご覧いただけます。
一度、ご見学にいらしてください。

よくあるご質問

Q1. 在宅避難は、誰にでもできるものですか?

いいえ。
建物や周辺の状況によっては、
自宅にとどまることが危険な場合があります。
津波や土砂災害の危険がある地域、火災が広がっている場合、
建物に損傷がある場合は、
迷わず避難してください。
自治体や消防の指示が出ているときは、そちらが優先です。
在宅避難は、あくまで安全が確認できた場合の選択肢のひとつです。

Q2. 太陽光と蓄電池は、両方入れないと意味がないですか?

そんなことはありません。
太陽光だけでも、日中の電気は確保できます。
蓄電池を加えると、夜間や曇天でも使えるようになる、という関係です。
ご予算やお考えに応じて、段階的に検討していただけます。
どこまで備えるかは、ご家族の状況によって変わりますので、ご相談ください。

Q3. すでに建っている家でも、できることはありますか?

あります。
家具の固定、
携帯トイレの備蓄、
非常用の照明の準備は、
今日からでも始められます。
建物そのものについては、
耐震診断という方法があり、
必要に応じて補強工事につなげることもできます。
新築のご相談だけでなく、リフォームのご相談も承っています。

Q4. まだ土地も決まっていないのですが、こうした相談をしてもいいですか?

もちろんです。
むしろ、土地を決める前のほうがお話ししやすいこともあります。
その土地が浸水想定区域に入っていないか、地盤はどうか。
ハザードマップの見方も含めて、一緒に確認できます。
何も決まっていない段階でのご相談も、いつでもお待ちしています。

まとめ

防災の日に、あらためて考えてみたいのは、こういうことでした。

  • 倒れないことと、住み続けられることは、別の話です
  • 電気、水、トイレ、そして夏冬の室温
    この4つが、在宅避難できるかどうかを分けます。
  • 備蓄や家具の固定は、いつからでも始められます
  • 一方で、構造の強さや配線、収納の造り方は、建てるときにしか決められません

家づくりは、完成した日から始まる長い時間のためのものです。
そのなかには、こういう日も含まれている
そう考えていただけたらと思います。

伊勢市・松阪市で家づくりをお考えでしたら、
こうした「その後」のことも含めて、お気軽にご相談ください。

※どれだけ備えても、それを越えてくる自然災害はあります。この記事でご紹介したことは、被害をなくすものではなく、少しでも減らすための考え方です。過信はなさらず、避難の判断は、そのときの状況と自治体の情報に従ってください。

※太陽光発電の自立運転、エコキュートの貯湯タンクからの水の取り出し、地震後の排水管の取り扱いは、いずれも機種や状況によって異なります。詳細はお使いの機器の取扱説明書をご確認ください。

※備蓄の日数は一般的な目安です。必要な量は、ご家族の人数や状況によって変わります。

この記事を書いた人

堀崎ホーム堀崎ホーム(株式会社堀崎組)

三重県伊勢市で創業150余年。
一般の住宅だけでなく、保育園・学校などの教育施設、クリニック・福祉施設、店舗、マンション、鉄道に関わる建造物まで幅広く手がけています。
松阪ハウジングセンターにモデルハウスを構え、テクノストラクチャー工法による地震に強い家づくりをご提案しています。
本記事は、社内の一級建築士の監修のもと作成しています。

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